土砂災害

 

Q4 土砂災害はどんなところで起きるの?

A4 はい。 土砂災害には,崖崩れ災害,土石流災害,地すべり災害,火山災害 と 雪崩災害 があります。
崖崩れ
 がけ崩れとは,崖地の頂上部が突然崩れる現象ですが,その第1の理由は大雨による水の浸透により地盤の抵抗力を弱めるためで,第2の理由は地震による揺れ(加速度の大きさ)です。
 一般に,崩れた土砂は斜面高さの2~3倍にあたる水平距離まで届くこともあります。
 このような崖は,山裾だけでなく市街地にも存在するので,土砂災害のなかでは最も多く発生しています。
 崖崩れは,崖が一気に崩壊する現象のため,直下では逃げる暇は殆どありません。 落下による衝撃で破壊力も強力のため,人命が奪われたり,家などが土砂に押しつぶされるような災害となります。
 急傾斜地崩壊危険箇所とは,都道府県知事 が以下の基準で指定した急傾斜地(斜面)のことです。
 『傾斜が30度以上で高さが5m以上の急傾斜地で,その斜面が崩れた場合の想定被害区域内に人家が1戸以上存在する場所か,人家がなくても官公署,学校,病院,駅や旅館などが存在する場所,あるいは現在人家や官公署などの施設は存在しないが今後建築される見込みのある箇所』です。


土石流
 土石流とは,谷や斜面にたまった土砂や土・石・砂などが,梅雨や台風などの集中豪雨によって水といっしょになって,一気に流れ出てくる現象です。
 土石流は,流れの急な川や沢などで発生することが多く,実際の被害は川や沢が平野部(扇状地)に流れ出たところから下流側で発生します。
 土石流の流下スピードは,通常の自動車走行スピード(40km/時~50km/時)に匹敵することが多く,大きな岩塊を巻き込んでいることもあって,衝撃力も極めて大きく,人命や家などの財産を奪ったり,道路や鉄道など交通網にも大きな被害を及ぼすことがあります。
 土石流危険渓流とは,都道府県知事 が以下の基準で指定した渓流のことです。
 『土石流発生の危険性があり,かつ土石流の及ぶ範囲内に人家が1戸以上存在する渓流か,人家がなくても官公署,学校,病院や社会福祉施設等の災害時要援護者関連施設,駅,旅館,発電所などの公共施設が存在する渓流,あるいは今後新規に建築される見込みのある渓流』です。

地すべり
 地すべりとは,地中の粘土層などのすべりやすい地層に雨水が浸透し,その影響で土地が ゆっくりと動き出す現象のことです。 比較的,緩やかな斜面で発生することが多く,家や畑がある場所でも発生することがあります。
 広い範囲にわたって発生しますが,その移動スピードは通常,1日に数ミリメートルと極めて遅いのが特徴ですが,いったんいったん動き始めると何年~何十年も移動し続けるという性質があります。
 家,田畑や道路などの交通網などが一度に被害を受けてしまうこともある上に,地すべりによってせき止められた川が決壊して下流に大災害をもたらすこともあります。
 地すべり危険箇所とは,都道府県知事 が以下の基準で指定した場所のことです。
 『地すべりを起こしているあるいは起こすおそれがあり,かつ区域内に人家,河川,鉄道,道路,官公署等に大きな損害を与えるおそれのある箇所』です
四国の地質と地すべりの特徴

 四国地方は,本州の東北日本地域や新潟県に代表される日本海岸地域などと同様に,地すべりが多発する地域です。
 東北日本の地すべりが 三紀層すべり と呼ばれるのに対して,四国地方の地すべりは,古い地質が様々な営力を受けて破砕したことによって固着力を失ってしまった 破砕帯地すべり です。
 四国地域の破砕帯地すべりは,三波川帯や御荷鉾(みかぶ)帯で発生するものが最も多く,次いで秩父帯で発生する傾向にあります。
三波川帯: 大陸プレートの下で押しつぶされてできた付加帯と呼ばれる地層のため,千枚岩のように繊維状に結晶しています。 シート状に剥離しやすく,断層は殆ど破砕されています。 三波川帯は中央構造線と御荷鉾構造線に挟まれており,一般的に大規模な地すべりが発生する傾向があります。
御荷鉾帯: 三波川帯と秩父帯の間に挟まれた一種の大規模な破砕帯で,海底火山の噴出したマグマによる火成岩から構成されています。 三波川帯と比べて山体傾斜は緩やかですが,地すべり発生密度は逆に多く,降雨がなくてもクリープ性の地すべりが発生する傾向があります。
秩父帯: 海底で堆積した砂岩や頁岩,サンゴ礁から生成した石灰岩が大陸プレートの下で押しつぶされてできた付加帯です。 秩父帯は付加されるときに強い圧力を受けたため破砕の程度が大きく,大雨の際に大規模な地すべりを起す傾向があります。  


 高知市土佐山で発生した崖崩れ     1998年9月豪雨で発生した土石流      土佐町相川地区の地すべりブロック群
お役立ち情報
 ① 高知県の土砂災害警戒区域: 高知県が指定した土砂災害に警戒する区域に関する情報(原本)
 ② 砂防副読本(防災お役立ち情報): (NPO)砂防広報センター
 ③ 四国の土砂災害: 国土交通省・四国地方整備局・四国山地砂防事務所
 ④ 先人の教えに学ぶ「四国防災八十八話」: 国土交通省・四国地方整備局・四国山地砂防事務所