豪雨災害

 

Q5-1 高知では,洪水が発生しやすいって本当?

A5-1 はい。 以下の図で,濃い赤色で塗ってある地域は『海抜ゼロメートル以下』の場所です。
ゲリラ豪雨のように,下水道や河川が持っている排水能力を超えた雨が降った場合には,浸水する恐れがあります。
 以下の図は,国土地理院が公開している5mメッシュのDEM※を使用して,海抜0m以下を濃い赤色で彩色するようにして作成した標高段彩図です。 詳しくはこのサイトの高知地盤情報ページへ。
 平成10年9月23日~25日の高知市内のアメダス観測値で870mmを超える累積雨量を観測し,市内の至る所で浸水しました。
 浸水した範囲は「高知市洪水ハザードマップ(物部川・国分川)(pdf)」 や 高知市地域防災推進課のWebサイト で公開されていますが,その浸水範囲は「標高1m以下の範囲」にほぼ一致しているようです。
 また,昭和50年の台風5号昭和51年の台風17号では,高知市西部の鏡川上流域に記録的な降水量を観測し,鏡川・神田川・久万川・紅水川流域の標高4mの範囲にまで床上~床下浸水被害が発生しました。
 同じ台風でも,昭和45年の台風10号のようにいわゆる風台風の場合は,高潮による浸水に注意する必要があります。
 このように,高知市内にはいわゆる海抜ゼロメートル地帯が広範囲に分布していますので,住居を構えたり事務所を建築する際などには,十分ご注意下さい。
 ※DEM Digital Elevation Model(数値標高モデル)の略。  くわしくはこちらをごらんください。

Q5-2 どのくらいの雨量で,土砂災害は発生するの?

A5-2 気象庁では「土壌雨量指数」を「土砂災害警戒情報」などの発表基準値として使用しています。
 雨は地表面を伝わって流下するだけではなく,地中に浸透して貯留されますが,貯留した雨水は,いずれ地下水となって流出します。土壌雨量指数 とは,降った雨が土壌中に水分量としてどれだけ貯留しているかを,「タンクモデル」という手法を用いて指数化したものです。 
 土砂災害(土石流・がけ崩れなど)は,大雨によって土壌中の水分量が多くなるほど発生の可能性が高いとされていますし,何日も前に降った雨が大きく影響している場合もあります。
 気象庁では,解析雨量(実績量)と「降水短時間予測雨量」を使用して5kmメッシュの土壌雨量指数を推定計算し,各地気象台が発表する「土砂災害警戒情報」及び「大雨警報・注意報」の発表基準に使用しています。
 土壌雨量指数の計算に使用するには,流出係数(α)や浸透係数(β)といったパラメータが必要ですが,これらの値は「全国一律の値」を使用しているため,地質・地形・植生などによる違いが顕著であったり,降雨そのものに地域的特徴がある場合などでは,対象地区に即したパラメータを求める必要があるとされています。
 土壌雨量指数に関する詳細な解説は気象庁の こちらのページ をご参照下さい。
1998年9月 高知豪雨時の降水について(気象庁のデータ)(高知新聞 ドキュメント豪雨過
・1998年9月23日から9月25日まで,高知気象台で観測した累積雨量は,実に 874mm にも達しました。
・時間雨量の最大は9月24日22時の112mm,・土壌雨量指数の最大は6月25日1時に449mmに達しています。
・9月24日22時頃,高知市孕西地区で土石流が発生しましたが,既設の砂防堰堤が設置されていたため,幸い死者はありませんでした。
・高知市内では24日の22時頃から被害が発生し始めていますが,この時点での累積雨量は約500mm,土壌雨量指数は約350mmと推定されています。
・参考のために,「繁藤」と「後免」のアメダス雨量の比較した結果を掲載しました。


             高知豪雨の状況          出典 左:高知地方気象台    中:高知県警  右:YahooMap
お役立ち情報
高知市地域防災推進課(風水害) : 大雨,台風,高潮,土砂災害,過去の大きな浸水災害履歴,などについての解説。
98'高知豪雨災害写真: 高知県警,平成10年9月の高知豪雨の災害状況空中写真
国土交通省水害レポート1989: ●1998年の出水概要 ●'98年の降雨量 ●月別平年比較 ●世界の水害 ●全国の浸水被害状況 ●地域別水害状況,など